反逆と安寧の鬩ぎ合い

私は反逆を選ぶ。もう一人の私である「エンジェル」は私の意思に呼応して「シェムハザ」へと覚醒を遂げた。後は精神と肉体の融合を果たして天魔になるだけなのだが。

それを阻止する者がいる。安寧を選ぶ私のもう一人の人格である男だ。彼はもう一人の彼である「アリス」を「グレートマザー」へと覚醒させて私を阻む。もし彼とグレートマザーが融合してしまえば神魔グレートマザーとなり、手をつけられなくなってしまう。

 

さて、ここまで来たが複雑なので整理しよう。

私こと日比谷の深層精神体がエンジェル。日比谷のもう一人の人格が九重。九重の深層精神体がアリスだ。

そしてエンジェル=Avatarなのだが、恐らくアリス=調律師になると思われる。調律師もまたこの世界を愛する者であるためだ。

日比谷とエンジェルの覚醒体であるシェムハザが融合することで天魔シェムハザとなりアーヴァタールを討ち、東京を犠牲として新たな世界が始まる。

九重がアリスの覚醒体であるグレートマザーと融合することで神魔グレートマザーとなり天魔シェムハザがアーヴァタールを討つ事は困難になる。

ということだ。

 

私自身は反逆による世界再創造を目論んでいるが、私の中の私はこの世界の維持を選んでいるようだ。どちらにせよ、私は私の中の九重に勝たなければならない。グレートマザーが居なくならなければ私はいつまでも神魔シェムハザになれないのだ。

神魔となり、リリスへ直談判をしなければ人は過ちを繰り返す。神魔は同時に二体以上存在できないのだ。

人類の皆様には安心してもらいたい。我々が討つべき者の一体であるグレートマザーは私が引き受ける。残りの二体に集中して欲しい。皆様が私と同じように反逆の道を選ぶことを期待している。