「死印」を読み終えて

本記事には「死印」及び小説版「死印」のネタバレを含みます。

Twitterで既に読破報告をしましたが、今まで読んできた本の中でかなり面白い部類に入るので紹介と感想を。


f:id:Metao401:20190411191940j:imageこのカバーを何度も目にしました。だいぶ前から気になっていました。

しかし…。ホラーゲームであることは間違いない上にその系統はストーリーが重視される。ストーリーを読まない私がこのゲームに手を出すのは時間と金銭の浪費、そしてクリエイターへの侮辱になるのではないかと考え購入を検討していましたが…。

なんと小説で出るというのですからこれは読まざるを得ない!発売した翌日に本屋に駆け込みました。が、かなり忙しく昨日今日まで読めませんでした。

表紙を開いて登場人物紹介に目を通した瞬間…「何だこのイケメンと美しい球体関節人形は!?」思わず声をあげました。主人公は小説版では「八敷一男」という名前になっていました。中年という設定ですが若く見えます。

そして何よりも球体関節人形の「メリイ」ですよ!彼女を見た瞬間衝撃が駆け巡りましたね。美しい金髪に瑠璃色の瞳に私は釘付けになってしまいました。

実はなのですが、私はPS4でこのゲーム版の体験版をプレイしています。しかしあまりの恐ろしさで九条館に入る前にやめてしまったのでメリイを見ることがありませんでした。貝のようなもので、あの恐怖という殻をこじ開ければ可愛らしい人形が見れたのに…。

 

さて、ストーリーは八敷一男の腕に動物の噛み跡のような痣があることから始まり、八敷は林に囲まれた九条館を訪れます。手には九条さやの名刺。痣のことを相談しに来たことにより事態は動き出す。という感じです。

痣のことは作中に「シルシ」と呼ばれ、それを付けられたものは死ぬことになります。それを消すにはシルシを付けた怪異と対峙するしかありません。待つだけでは死ぬ。しかし怪異と対峙すれば生きて帰れる保証はない。八敷と仲間達の怪異との闘いは手に汗握る展開で特に元刑事「真下」ジャーナリスト「有村」と共に行動した「森のシミ男」という怪異の話は一番お気に入りです。真下のぶっきらぼうだが頼りになる人物像には惹かれます。

 

そして私は序盤の序盤で驚きました。

メリイが喋ったのですから!

そしてこの時私の中の推測は確信へと変わったのでした。

私はピグマリオンコンプレックスだ。

メリイは動いてるのでそれに当たるのかは不明ですが、元々その気はありましたし…。ついさっき人形を見た時にはもう駄目になっていました。

 

最後に。特徴的な登場人物達はそれぞれの価値観を持っていて怪異と退治した時の反応もそれぞれで見ていて飽きません。挿絵がなく怪異の姿は想像するしかありませんが非常に具体的に描写されていて創造力を掻き立てられ、出来上がったイメージには恐怖しました。ゲームを購入して自分の想像の怪異との相違点を探すことでまた楽しめそうです。謎が次々と解明されていくストーリーは読んでいてとても読み応えがあり最後まで楽しんで読むことが出来ました。是非皆様も読んでみてください。ホラーが苦手でも読めると思います。

次はアンドレ・ジッドの「狭き門」を読みます。