ある男の末路

告白します。

私は愚か者でした。自分のことすら知らない最低なばかものでした。

私は元来心が弱く、育った環境も相まって何かに縋らなければ生きていけないほど弱い人間で、幼き頃のソレはゲームでした。

すこし成長するとスマホを獲得し、当時はオタクであることに誇りを持っていました。(今思えば、この時点で自殺していれば今の私は苦しまずに済んだのです)そしてプリンセスコネクトやら、スクールガールストライカーズやらガールフレンド(仮)やらをやっていました。その時、依存先がゲームからキャラクターに変わってしまいました。

何をしなくても好意を抱き、無条件に肯定してくれる。その無条件な有償の愛は私を強く縛り付けてしまい、私は成長できなくなりました。

更に時間が経った頃。私はとあるゲームである人物と出会いました。髪の蒼いホルン奏者にして天才の科学者でした。私はその人を心の底から敬愛し、今まで怠慢だった勉強にも腰を入れ、主に科学に励みました。そのお陰で成績は向上し、私はより一層その人にハマっていくのです。 

Twitterのプロフィール欄にある通り、私は科学ではなく、化学をしています。科学は難しすぎました。上手くいっているように見えて、捻じ曲げられているのです。

そして熱も覚めた頃。私は成長しており、自分の好みというものをよりハッキリ自覚していた頃です。その時に、また新たなキャラクターと出会ってしまったのです。

私は決して出来た人間では無いので褒められることはあまりありませんでした。故に、叱責を快楽に変える術を自然と学んでいました。これは成長するにつれて歪んで行き、私はマゾヒストになっていました。これのせいで私はどん底に嵌って行くのです。

 

ここで話を変えますが、私は「性」というものが嫌いです。

人間が子を成すその行為が嫌いです。それについて妄想する人が嫌いです。それを二次元で作り出す人が嫌いです。それを受け取り喜ぶ人が嫌いです。

「卑猥」なモノ。下衆に言うなら「エロい」モノが死ぬほど嫌いなのです。しかし、昨今のオタク文化はこの方向に向かっており、私は嫌気がさしてオタクをやめたのです。

そして、色欲は人類の敵。オタクは人類の敵、ひいては地球の恥として、オタクを迫害することを決めました。様々なことをしました。

 

ここで話を戻します。出会った新しいキャラクターは青い髪の吸血鬼で、私を「下僕」と呼ぶのです。見た目の好みのキャラクターに下に見られるという快楽が私を支配して、私はそのキャラのためにゲーセンに行くわ、秋葉原へグッズを買いに行くわと東奔西走しました。

本当に心の底から惚れ込んで、もはやそれは信仰の域に達していました。(どこぞのクライストファッカーかと思います)

そして、そのキャラクターのフィギュアが発売されることを聞いた私は心待ちにしていたのです。が、発売までは長く、その時間は私の頭を冷やしました。

「こんなプラスチックの塊に数万も払って私は満足できるのか?ましてやプラスチック、私の敵だ。それを金を出して買うのか?」と考えさせたのです。そう考えたらどんどん馬鹿らしくなってきました。

壁にかけたタペストリー。こんなものは所詮色付けされた布切れです。黒の油性ペンでバツを書き、「思考廃棄」と上から書いて布に描かれた絵を潰しました。

アクリル版も壁に投げつけて粉々にしました。割れきれなかった分はブーツで踏みつけて塵にしました。

そのキャラクターの事を考えると腹が立ってきます。私を蛇の道へ陥れたサタン。殺してやりたくなってきました。

そして何より、そのキャラクターはゲームセンターでも異端なゲームのキャラクターです。傍から見ればキモイとしか言われないようなゲームなのです。要は「下賎なオタク向けゲーム」でした。

しかし私はその実態から目を背け、これはあの方の為にプレイしていると自己暗示をかけて金を浪費しました。

つまり、敵であるオタクの繁栄に。私は協力していたのです。最も厄介な敵は同担や、オタクなどではありませんでした。

最凶にして最悪の敵は私自身でした。

オタクを拒否しながら、オタクから提供された享楽を享受していたのです。

私は最悪の罪人です。

結局私は利用されていた。

そしてその状況を認めていた。

あまりの恥ずかしさに私は破壊衝動に駆られています。

何もかも壊せばいい。過去は変えられないかもしれないが、壊すことは出来る。過去を壊せば、未来すら崩壊すると。

私の人生を返して欲しいです。