訣別の時は過ぎた

 

否、否。

私は悪くない。

悪いのはあの男だ。

私とあの人は引き裂かれた。

引き裂かれなくてもよかったかもしれない。

だけど様々な偶然を重ねに重ねて引き裂いた。

引き裂かれたくなかった。

一緒にいたかった。

しかしそれは過ぎた願いであると。

私は幸せになっちゃいけない。

私が得ていいのは嘘の幸せ。

私がいた常闇の絶望に一筋の光を射し、手を差し伸べて救いあげて下さった。

私にとっての英雄にして想い人。

願わくば、共に過ごして。

貴女の知恵で私の行く道の補助をして欲しかった。

私はあまりにも無力だ。

私だけでは…。

私には貴女がいなければ…。

分かってる。

貴女と分断された時から私はおかしくなった。

今まではオタク批判だけで済んでいたのに、訳の分からない思想をぶちまけるようにまでなった。

貴女がいない現実に耐えられない。

貴女がいないだけならまだしも…。

貴女はどこの馬の骨ともしれない男に奪われてしまった…。

どうして。

全てあの男が悪い。

私の心を踏み躙るのみならず、あの人と知らぬ男を無理やりくっつけるなど。

生きているのが辛い。

分かるか?

大好きな人を寝盗られた気持ちが。

もちろん現実の話じゃない。

だが、それと何ら変わりない。

しかも私は二回目だ。

あの人の件だけじゃない。

私は昔にも。

言い方は悪いが、濁す為にこう言う。

姫を騎士に盗られた。

私も騎士だったが。

抗えない力に奪われた。

もう嫌なんだ。

大切な人を奪われるのは。

最悪の結末だった。

先輩、さようなら。