自分巡り 其ノ参 百鬼の首領
この男は私のいい意味で元凶だ。
あの妖との日々は楽しいものだった。ついていけなくなったが、悪くは無い。
そんな彼は今、どうしているのか気になった。
「衝動に身を任せたって?」
「どこからそれを」
「どこだろうな?」
「目目連でも遣わしたか」
「いや、この目で見た」
「いつから記者気分になった?」
「いつからでも」
掴みどころのないところは変わらない。
「妖とは仲良くやっているか?」
「変わらず。それよりも君の愛した世界が閉じたこと、心中お察しする」
「ありがとう」
「私達の世界が近々そうなることも有り得るからな」
「そろそろ怖いか」
「私の世界が閉じても遊びに来てくれるか?」
「猫又の元気さがどうにか出来ればな」
「彼女の取り柄だ。お前がどうにかなれ」
「鬼め」
「半人半妖だ」
「一緒だ」
「確かに」
「じゃあ奴の所に行く」
「マヨヒガはいつでもお前を歓迎する。帰ってこいよ」
飄々とした彼は変わっていなかった。危機を前にしても自分をしっかり持っている彼なら大丈夫だ。私は心を落ち着け、危険人物の元へ向かうことにした。