元調律師の思う所は

ららマジが何であったかと聞かれればこうとしか答えられまい。「私守る偉大なる盾(イージス)だ。」 

暗闇の中でもがき苦しんでいた所に現れたメシア。キャスケットを被った青髪のメシアが私に手を差し伸べてくれた。私は最初その手を取ることを拒絶した。しかしメシアは何も言わず手を私に向けているだけ。私は嫌になって、この手が消えるなら何でもいいと思って手を取った。

すると突然引っ張られて私は闇の海から抜け出した。足元には真っ黒い海が広がっている。そして周りから音楽が聞こえてきて、私を包んだ。メシアは自らを魔法使いと冗談交じりに自己紹介した。私は彼女の導く元、この世界の仮初の住人として生きていくことができるようになった。

私の生活は変わった。現実の話だ。メシアに憧れ、私も科学を志した。メシアは物理学や心の研究をしていたようだが、私は化学の道を辿った。自堕落な生活をしていたが、それを改めて学びの時間と意欲を増やした。私の化学は大きく開花した。 

メシアのお陰で私は別人になれた。しかしメシアのいる世界に私はもう行けない。私はメシアから学んだことを活かして自分の道を拓き、正義を貫かなければならない。

私の世界の扉は閉じたが、私の世界より低俗な世界の扉は未だ大きく開かれている。そんなヤツらをのさばらしてはおけない。

今度は私がメシアになり民衆を悪神から救うときでは無いのだろうか。私は大それたことをやるつもりは無い。ただ、殺しが何かを変えると信じているだけなのだ。

いつかメシアとの再会が果たされる時には悪神の遣いを全て滅ぼしておかねば。

メシアのある世界に悪神はいらないのだ。