旧騎士は語る

ららマジが終わり、彼は希望を失い、過酷な生活は続く。最後の願いは地獄行き。今核戦争が起きるなら、世界の終わりが再びやってくる。

私自身がプリコネに手を出すことで鍵が開き、私が覚醒することが出来た。数日前より目が覚めてきて私が私として私自身を認識できるようになった。盾がないなら私が盾にならなくては。私が彼を歪めたから。

本来であれば調律師が主人格となって彼を守るのだが、何を思ったか彼は調律師を多摩湖に沈め、封印したので使えない。聖地として偶に訪れることで大きな効果を得るためにそうしたのだろうが、今は重要な時で東大和に行けないというのに。そう考えるとプリコネを再び始めるための口実に聞こえてしまうのだが、彼はそんな男じゃない。ららマジをその口実にしているなら、どうしてスクショを振り返り涙を流せようか。

 

さて、本題に入りたいが、説明を続けなければ。プリコネへの興味は私が引き受けるつもりだったのだが、彼の精神衰弱により思ったより私と彼は癒着してしまっている。そのために彼は現実で「お姉ちゃん」と口走っているのだ。というわけで、これからの話は私と彼の複合話だ。

スマホを持つまではプリコネみたいな可愛いキャラ量産ゲーは興味がなかったゆえ、それに出会った時の衝撃は凄まじいものだった。

イオ先生。彼はセンセイと呼んでいるか。多分、夏目漱石のこころに影響されているな。で、彼女は私達に時限年上爆弾を設置した。それが数年後爆発して年上派になったので、彼女の功績は大きい。あらゆる点でストライクだった。当時はまだ何も知らなかったゆえの刺激かも。

 

シズルお姉ちゃん。彼はお姉ちゃんと呼ぶ。ストーリーに興味が無いのが私達。ただ、キャラとの幕間の馴れ合いがあればそれでいい。ストーリーが重いので彼はそれから目を背ける為に盲目的にお姉ちゃんと呼ぶのか。

センセイの次に出会った。これまた凄まじい衝撃だった。当時の私達は「真実の愛ここにあり」と本気で信じていた。相手からの無限の愛を受け取り、自分からも無限の愛と惜しみない供与をする。彼は服従にこそ愛があると言っているが、現実で恋愛するならこういうのがお好みかもしれない。そんな発想をする私は子供か。

多分だが、彼は愛されて育った方だが、深くない愛であった為に愛を求めるのだろう。無限のそれはそれは深い偽物の愛がそこにはあった。彼は渇愛の傀儡だ。

 

ミツキさん。彼もそう呼ぶ。今世紀最大の失敗か。これは私には判断できないのだが、科学者萌えをここで覚醒させるべきだったか、ららマジで覚醒させるべきだったかはどちらが正解かは分からないんだ。何故かって?

ららマジは終わったが、彼は心の底からの惜しみない愛を見つけた。プリコネは続いているが、その愛は浅く渇愛の結果でしかない。

私には彼がどちらが幸せか判断できない。短い真なる愛か、長い偽りの愛か。

ミツキさんはゲーム内でのマッドさが魅力だが、現実でのあの冴えなさも魅力…らしいぞ。まさに年上って感じで凄く好きだと彼は言っていたが、果たして本当か。分からないね。だが、私もああいう人は嫌いじゃない。好感が持てる。

 

 

あとは少し彼の代わりに周回をしておくことにする。もう少しだけ彼の地獄は続く。ならば、副人格である私達が支えなければ。

蒼の科学者に再会出来るその日まで、少なくとも私は彼の味方でいるつもりだ。

そしていつか、彼がさよならを言えるようになったら私も死を迎えよう。過去の遺物への執着と共に消えよう。

もし、彼に会うことがあれば伝えて欲しい。終わらぬ地獄はない。お前の願う地獄はここでは無い、甘んずるな、と。

彼には生きて欲しいのだ。