死を思い、恐れを畏れよ

今日、私は珍しくテレビを見ていた。そしてある男性を見た。

どうも、彼は愛犬のために移住、新居、リフォーム、新車に金を使ったらしい。

私は思うのだ。

いずれ無くなるものをなぜ人は愛おしく思うのか。犬なんてすぐ死ぬのに、可愛そう。

何が可哀想って、いずれ無くなるものに本気で愛を捧げるとそれが無くなった時に深い絶望に襲われる。そして私はそれを知っている。

あの絶望を他の人には味わって欲しくない。あまりにも辛いのだ。当たり前にあったものが、無くなる恐ろしさ。失われたものを私は死んだと言う。

変わらないものはずっと変わらないという危険な発送は今すぐにやめて永遠にあるものを思え。例えば。

例えば。

例えば……

ええっと………。

そんなものない気がする。地球は爆発して死ぬ、宇宙もいずれ死ぬ、神は人が信じなければ死ぬ、マグロは泳ぎ続けないと死ぬ、革命家は毒で死ぬ、英雄は驕り死ぬ、ららマジは知名度なくて死ぬ、核兵器は爆発した瞬間死ぬ、分子は崩壊して死ぬ、聖書は燃やされて死ぬ。

ダメだ。

何も信じるな。

信じたら死ぬ。